スーダンで命を救う [海外で奮闘する日本人]
川原尚行医師(NPO法人 ロシナンテス)
内藤カメラマンHPより
スーダンという未知の国・・・そこにはやっと内戦が終わり多くの難民がいる。
そこに焦点を合わせることも必要だけど、
自分はそこで働く日本人にまず焦点を合わしていきたいと思っている。
そしてそこに暮らす人々の暮らしや表情、
うつくしい風景、景観を大切にして、それも描いていく。
そして、その日本人が、
一つ一つの命を大切に救いあげるその「いのち・こころ」を
伝えていきたいと思っている。
そんな姿を、まず第一に見てもらいたいのは、
将来のある子供たちになんだよね。
・・・豊かな繁栄の中にいる日本だけれど情報があまりに多すぎて、
すぐ隣りが気になりすぎて、目標や生き甲斐を失いかけている人が沢山いる。
目標や生き甲斐を探し求めている若者も沢山いる。
そんな若者たち、人たちに・・・自分をも含めて
見て感じてほしい「いのち・こころ」がある。
まずは自分が身体でリアルに感じたいんだよね。
そしてひとりでもいいから感じてほしい。
ロシナンテスについて
2006年5月には「NPOロシナンテス」を設立。
2007年3月からは首都ハルツームから南東に約500km離れたエリトリア国境近くのシェリフ・ハサバッラという小さな村にロシナンテス診療所を開設。
マラリア発症が他地域に比べて多く、しかも無医村だったこの村での診療所開設の意味は大きい。
朝から深夜まで診療は続く。時間が空いた時には巡回診察にも出かける。
そこにはまたベッドに横たわりマラリアで苦しむ女性の姿。彼の活動は診療所の診察だけにとどまらず、日本の中古医療器具や中古救急車を活用、小児科医療の充実、協力、そして日本の養護学級との交流。
スーダン医師・看護士の日本への医療研修招聘。逆に日本医学生のスーダンでの現地研修への受け入れ。
スーダン北部メロエでのデェイツ(ナツメヤシ)の植樹活動、砂漠化する土地での産業を模索する為の生命力に優れているケナフ農場(紙原料となる植物)への挑戦、そして病気予防に最も大切な水質浄化への取り組み。
医療・環境・農業・文化・教育という幅広い形で、スーダンの人々との共同作業を行なっている。診療の合間に村を散歩する。
木陰で休む村人らが笑顔で声をかけてくる。
「ドクトル・カワハラ・・・お前は良い奴だ。サディーク、クワィス・・・最高の友だちだ」
疲れた身体に充実感が染み渡っていく。ひとりひとりを献身的に診察していく日々、川原尚行医師の挑戦は今日も続いている。
ダルフール紛争ということ以外は、一般に知られることのないスーダン。
内戦・紛争で生命が奪われていく現実のなか、
ひとつひとつの生命を救いあげていく「もうひとつのスーダン」がここにある。